Historia|有用な建築(2017‐)
長野県の松代は、アジア・太平洋戦争の末期において、政治および軍事的な中枢の移転地として見込まれていた。もしも、「最後の一兵まで」という言葉を日本列島において完徹したとすれば、天皇の在所までもが建設されたその地は、この国の終着する場所となったのかもしれない。
そのような歴史の「if」など一顧だにせず、草木は新生する。ただ、巡る季節に色を変える山々の地下、その岩肌に残された痕は、いまもそのくぼみに深い闇を湛えている。それらのあいだにつかのま火花を散らすもの、それこそが「現在」だろう。
本作品はカラー写真と黒白写真によって構成されている。
〈 Selected images 〉
〈 Installation view 〉