「覚書き」
或る面に投じられた影や光、何かに縁取られた視界、自然と人為を区分けるように設けられた柵。写真というメディウムを構成する様々なメカニズムのことを考えながら、それらと相通じる言葉によって呼び表されるものたちへとレンズを向けてきた。「写真は何によって可能か」という問いと共に。写真とはカメラとフィルム、または撮像素子、そしてそれらによって生じた像を可視化する媒体によってのみ可能となった存在であるのだろうか。
ニエプスがル・グラの窓からの眺めを固定させた遥か以前より、写真機の原理ともいえる現象は観察されていた。それでは、人は「写真」が誕生する以前から、「写真的」なものを目にしていたのだろうか。写真のエレメントとも呼ぶべきものへの眼差しは、来るべき写真へとかすかにであれ繋がっていたのだろうか